四月にはいると、いままですっかり野山をおおっていた雪が溶けはじめる。田んぼの雪も雪割れて、小川の流れが見えてくる。土堤には、水楊が銀色のつぼみをふくらませ、セリやアサヅキが新鮮な緑色を見せはじめたかと思うと、野も山も日当たりのいいほうからどんどん黒い地肌を現わしてくる。この季節の、胸の躍るような快さというものは、北国の人間でないと、とうてい味わえないだろう。
(『庭野日敬自伝 道を求めて七十年』より)
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4月の半ば、府中教会の壮年有志11名が、立正佼成会の開祖庭野日敬の生誕の地、新潟・菅沼にて奉仕活動を行った。来年、府中教会発足50周年を迎えるにあたり、壮年の一層の活躍を生誕地で誓った。
平均年齢66歳の「府中壮年イレブン」の働きは、開祖の青年時代を追体験するように、さわやかで感謝に満ちたものだった。
春雨の中、山道を歩く一行
午前中、まずは雪囲い外し。
例年は秋の奉仕活動で、雪囲いを行っていた府中教会の壮年。
今回は、初の雪囲い「外し」作業だ。
続いて、ご生家まわりの清掃、道路の落ち葉掃きと泥掻き。
雨がそぼ降る中、カッパの下は汗びっしょりとなった。
午後には、ウォーキングコースの標識を立てに。
積雪の前に外しておいた標識は文字が塗り直されリフレッシュ。
コースの道標となる看板を各ポイントに戻す作業だ。
標識には鉄柱が仕込まれていてかなり重い。これを担いで山道を行くのは相当にキツいと思われる。
3人組でエッサホイサと標識を運んだ壮年いわく「肩で担ぐと神輿のようだった」と。
1.8㎞地点に立てた標識
手ぶらで最後尾を行く筆者は、歩くだけで精一杯だ。
神輿(標識)への声援も途切れる。
復路は同じ道を歩いて引き返すのではなく、生誕地道場のスタッフが用意くださった車に分乗と聞いて、目の前が明るくなった。
切り立った崖のような山道
無事に標識を立て終え、気が楽になると、山の恵みに目がいった。
コシアブラやタラの芽などを見つけては歓喜。コシアブラはどんどん生えてくるとのことで、採り放題。
夕食では、揚げたての山菜天ぷらや郷土料理「菅沼汁」に舌鼓をうちながら、「信仰とは感謝である」と先輩壮年から受け継いだ言葉と思いを語った。
菅沼での壮年奉仕の歴史とエピソードを確認し、サンガと共に歩んできた信仰の妙味を分かち合った。
山道で採ったタラの芽、蕗の薹、コシアブラ
「菅沼汁」
具材は肉の代わりとなる車麩、里芋、
野菜の採れない冬場の保存食として
水煮にしたキノコなど、山のごちそう
(文・写真:佐藤)
Info────────────────────────────
生誕地道場 庭野日敬開祖の生誕地、新潟県十日町市菅沼に1978(昭和53)年に建設された練成道場。生誕地参拝の拠点とされています。また2005(平成17)年には庭野開祖の生家が復元され、開祖が生まれ育った当時の生活を感じることができます。
庭野開祖はここ菅沼で生まれ育ち、あたたかな家族や大自然の中でおおらかで争いを好まない優しい心、そして神仏を敬い人に親切にする気持ちが育まれました。
生誕地道場では多くの子どもたちや会員が参拝に訪れ、庭野開祖の生まれ育った土地や雰囲気を感じ、追体験しています。