府中教会にオシドリ夫婦は多けれど、この二人ほど楽しげで周りを明るくするコンビはいないだろう。
名コピー「NO MUSIC,NO LIFE.」に肖るなら、山原夫妻が体現するのは「NO 斉家,NO 平和.」。
年頭法話で示された要訣でもある。
府中教会では、壮年支部副部長の山原利公(としまさ)さん、地区主任の里予(りよ)さん。
夫婦共にお役をされているお二人に、これまで歩まれてきた信仰や夫婦仲良しの秘訣などを聞いてみた。
(聞き手:佐藤)
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◆供養がつないだ縁
──里予さんは府中教会で様々な役を歴任されましたね。
里予 はい、女子支部部長、教会女子部長、地区主任、教務員、婦人部長、青年部長。そして、今、主任と教務員をしています。
お役のおかげさまで様々な経験ができました。苦手な事が少なくなり、人が好きになりました。
先日、教務員仲間と話をしていて「私たちってちょっと端っこにいる人のそばに近寄っていく習性があるよね。仏性を探しにいっちゃう」と。だから楽しいですね。
──仏性探しが楽しいと。
里予 怒りや反発の言葉の裏側には、仏性がうずいていると教えてもらったことがあります。
そのような人に信頼してもらえる自分になれるよう、話しかける努力をすると、新しい関係が生まれることが嬉しいです。信頼してもらえるよう心をニュートラルにできるのは、主任や婦人部長のお役をしてからだと思います。
──それまでは心が平らではなく、もっと感情を出していたこともあったのですか。
里予 婦人部長のときも感情を出していましたね(笑)
──そんな里予さんが、激しい感情を出していたころも知っている利公さん。
ぜひ、お二人のおなれそめを教えていただけますか。
利公 はじめは大橋壮年部長(里予さんの兄)と友達だったからですかね。奥さんとは8歳違うのですが、高校生のころから見かけてました。
話すようになったのは、うちの母親の四十九日に奥さんが来てくれてからですね。
──お母様がつないだご縁なのですね。
利公 母親が亡くなる少し前に、酒に溺れる父のもとで苦労した事や、精一杯真面目に信仰してきた母がガンになった事で苛立つ私に「だれも恨んじゃいけないよ」と言っていました。そんなには長く生きられないなら、母親の願いに沿ってみようと思いました。佼成会を否定すると母親を否定することになるので、母親の信仰を自分も精一杯やってみようと。実際、余命三カ月のところ一年間生きて、そのあいだ、少しでも親孝行ができたし。
奥さんとは府中教会のサイパン慰霊参拝で一緒だったことがきっかけですね。自分が素のままでいられる人だったからです。
──一緒にいると居心地がよかったのですね。
利公 ただ、あのころはこちらに合わせてくれてたのね、と最近はわかってきました。思っていることは言ってくれないと分からない。やってほしいこと、やってほしくないことは言葉にして伝えてほしいのですが、奥さんは気遣いの凄い人なので、言わないことがある。だから、だいたい年末ごろには爆発してしまう。突然の爆発に驚いて、こちらの言葉が強くなると黙ってしまうし・・・こういうことも言わないほうがいいかな。
里予 言っていいですよ(笑)
◆放っておけない人たちがいる
──お二人の話を聞いていると、お互いが理解し合っているように思えます。
お二人で話していて楽しいことはなんですか。
里予 しょうもない笑いが好きですね。そうそう、主人は、器用に生きられない人を放っておけないんですよ。
──放っておけない人、今まわりにいますか。
利公 たくさんいますよ!
福祉施設の職員として発達障害など方の就労支援をしているので。障害があるなしにかかわらず組織的な動きができない人の話をよく聞くと、そうをせざるを得ない理由がわかります。持って生まれた過剰に敏感な個性、または過剰に鈍感な個性が多く、どちらも「普通」と言われる人から疎まれてしまう、その理由がある。それを探してみると、なるほどねと思うことがあるんですよ。
里予 主人は、相手がもっとも相応しい場所で仕事ができるよう、損得抜きに心を砕いて支援しているところがすごいなと思って、話を聞いています。
──そういった利公さんの人間理解のようなものは、お母様の影響もあるのでしょうか。
利公 それもありますが、父親がアルコール依存症という障害者で、当事者家族でしたから。自分が中学生の頃から、酔って「金がなければ意味がない」と呟く父親に「人として一番大切なのは思いやりだ。一人で重ければ、二人で背負えばいいじゃないか」と人生を説いていましたね。母親は、そんな私には信仰的なことが合っていると感じて、佼成会での活動をすすめてくれたように思います。アルコール依存症の家族をもつと経済的にも大変でしたが、バンドの音楽活動は両親も否定しませんでした。
◆音楽と共に、万年青年の心で
──音楽で食べていこうと思ったことがあるのですか。
利公 いまだにありますよ!
仲間もいるし、披露の場もあります。今年からはオリジナル曲のバンド活動も再開します。
Man on the silver mountain by Rock道
──佼成会のメンバーが社会で活躍したり、外の世界につながって広く楽しんでいる様子も、ホームページをご覧のみなさんに知ってほしいですね。
利公 そうですね。偉ぶることをしたくないので、万年ド素人、万年青年だと思ってます。
──府中教会でもバンドの結成して披露したことがあると、大澤主任さん(前回のボサツ☆メンバー紹介)から聞きました。
里予 「アフリカへ毛布を送る運動」などを広めるために、バンド演奏で盛り上げましたね。
左:大澤一惠さん、中央:里予さん、右:利公さん
利公 府中教会の駐車場や、府中公園で演奏しました。
あの時代の特徴でしょうけど、リアルで集って、先輩幹部や仲間に人生のいろいろな解決方法を教えてもらう機会になりましたね。いまならネットで調べればわかることも、あの頃は会って教えてもらわなければわからないので、教会に行ったのだろうと思います。
──それは、府中教会のこれからの活動のあり方につながる話ですね。
たくさんの人がお祭のように集っていた時代から、今は信仰活動が変化つつありますが、インターネットでつながっているようでも孤独になる人もいます。リアルな出会いではなく、バーチャルに傾く現状はどう思いますか。
利公 使い分けだと思います。
LINEの文章では伝わりにくいことは会ったほうが分かりますし、バーチャルに疲れてくると、また集うようになりますよ。
里予 ここ何年か会っていなかった府中教会の仲間のことが気になっていたのですが、最近たまたま会うことができたんです。おかげで心情を分かち合うことができました。会うことによって深まる対話があると気づきました。
ただ、コロナの前は集うことに力を注ぎ過ぎて、疲れてしまうことがあったかもしれません。
──会うことで深まる関係づくりは大切ですが、会わなくてもできることの知恵も必要なんですね。
利公さんが昨年末に壮年支部副部長を受けられましたが、お役に対する今のお気持ちはいかがですか。
利公 支部の壮年さんが活躍できる機会を増やしたいという思いはずっとありました。支部部長さん、支部の壮年さんたちの支えになれる役だと思っています。
──ぜひ、これからも支部壮年サンガを盛り立ててください。
子どもの頃から様々なご苦労を引き受けてこられた利公さんですが、現在、父親として大学生と高校生のお子さんの成長を見守っておられると思います。ぜひお子さん方への思いをお聞かせください。
利公 一言では言い表せない程、私を幸せにしてくれてありがとう!
──里予さんもお願いします。
里予 私たちのところに生まれてきてくれてありがとう。出会いを楽しんで豊かな人生を!
──メッセージを受け取られたお子さん方の感想をきいてみたいですね。
では、出会いと対話のなかで相手への理解を深めているお二人のご活躍に、これからも期待しています。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
二人で何度もメロイックサインの練習(ふだんはしないとのこと)
※正しくは人差し指も立てるそうです。
info
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アフリカへ毛布を送る運動
※昨年2022年が運動の最終年でした。
これまでの38年間の取り組みで400万枚を超える毛布をアフリカへおくることができました。貧困や自然災害、紛争、HIV/エイズなどさまざまな問題で困難な状況にある人たちに直接的な支援をしてきました。
ボランティアとして人材を迎え入れて“人づくり”を行いながら運動を推進してきたことも大きな成果です。
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アフリカへ毛布を送る運動
※昨年2022年が運動の最終年でした。
これまでの38年間の取り組みで400万枚を超える毛布をアフリカへおくることができました。貧困や自然災害、紛争、HIV/エイズなどさまざまな問題で困難な状況にある人たちに直接的な支援をしてきました。
ボランティアとして人材を迎え入れて“人づくり”を行いながら運動を推進してきたことも大きな成果です。
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