10/26/2023

『平和への道』───こうのさんの開祖さまイチオシご著書

開祖さま生誕月の11月は、開祖さまの教えと事績を学びあい実践する「報恩感謝の月」。
スペシャル企画として「開祖さまのご著書であなたのイチオシを教えてください」というアンケートを実施しました。
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今回は、アンケートで『平和への道』を選んだこうのゆうこさん(以下、河野さん)にお話をうかがいました。
(聞き手:佐藤)

今年秋に開催された聖蹟桜ヶ丘駅周辺の周遊型音楽フェスイベント【せいせき音フェス】でこうのゆうこさんがボーカルをつとめる「バンドめい」の初お披露目演奏





──河野さんは、『檻の中のライオン』の著者で弁護士の楾大樹(はんどうたいき)さんの講演会を企画、開催するなど憲法について積極的に学び合いされていますね。

河野 自分だけ学ぶのではなく、広げるということを大事にしています。特に若いパパ、ママさんに伝えたい。そうすれば、子どもにも自然に伝わっていくと思っています。

──そのような河野さんが選ばれた『平和への道』ですが、イチオシの理由に長寿王(ちょうじゅおう)のお話を挙げていますね。

河野 はい、この物語は王政の国の話であることが前提ですね。王様が絶対である。そこが民主主義の日本とは違います。ただ、日本が本当の意味での民主主義かどうか…。

──難しいところですね。まず長寿王の物語のあらましですが、インドのコーサラ国の繁栄をうらやましく思い、戦争をしかけて国をとってしまおうとする隣国カーシャ国との対立があります。このとき、コーサラ国の王である長寿王は戦争を回避するために、敵国のカーシャの治下に入ろうと提案するのですよね。

河野 そうです。戦争になれば、自国だけでなく双方の国の民に死傷者が出る。現在のウクライナ戦争、パレスチナでの紛争、世界各地の戦争、紛争もそうです。そういった状況を避けたいということです。

──長寿王が敵国に下ったことで戦争は回避され、両国民の命を一人も失うことはありませんでした。しかしコーサラ国はカーシャ国王のものとなり、長寿王は敵国で処刑されるという前半のあらすじです。

河野 身を捧げたのですよね。他の人を生かすために自分が犠牲になったわけです。

──捕らえられた長寿王が今にも火あぶりにされようとするとき、息子である長生王子が飛び出そうとするのを見つけ、伝えた最期の言葉がこちらです。
「恨みに恨みをもって報いれば、また、それが恨みを生んで、いつまでも消えることはない。どちらか一方が許せば、そこで恨みが消えてしまうのだ」



 

河野 父を殺されたあと、長生王子は敵である王の命を狙いながらも、父の最期の言葉を思い出し、殺すために抜いた剣を収め…というやりとりを三度繰り返し、ついに敵王と和解します。現実にはありえないおとぎ話ですが。

──そう、おとぎ話ですが、その寓話に込められた教訓として、開祖さまは「釈尊の平和観」を三つ示されています。

①「人命より主権を重んずるのは狭い考えだ」という思想 
②「多数を生かすために自分が犠牲になる」という精神 
③「恨みに恨みをもって報いれば、恨みは消えることはない」という真理


河野 「人命より主権を重んずるのは狭い考えだ」というのは、国家よりも、そこに住む人々の命のほうが大事だということですね。

──この話では長寿王の命が失われるわけですから、本当に人命重視というなら、王の命はどうしたら助かるだろうかと思ってしまいます。②で「多数を生かすために自分が犠牲になる」という精神が説かれますが・・・

河野 しかも、長寿王は「喜んで捧げる」と。

──ここから何を学ぶかですね。

河野 そうですね。犠牲になった父を思い、息子はすごい悔しいわけです。許せないという恨みの感情が続いてしまいます。

──現在の紛争も、こういった恨みの連鎖かもしれません。

河野 長寿王の話の場合は、恨みをもっていた王子が身分を隠して敵の王に近づき、何度も殺そうとしてはためらい、「実はあなたを殺そうとしてた」と告白するということは、仏性を信じているということですよね。

──そこが大事なところだと思います。

河野 真実を言ったら自分が殺されるかもしれない。だけど真実を伝える。そこで敵の王が「自分が悪かった」と真実をさとるわけです。真実には真実があらわれるという思いがしますね。

──この長生王子と敵のやりとりは本当に考えさせられます。ぜひ『平和への道』を読んで皆さんに味わってほしいですね。河野さん、ありがとうございました。



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Info

『平和への道』庭野日敬/佼成出版社(昭和47年発行)
第1回の世界宗教者平和会議(昭和45年)を終え、さらに新しい歩みを力強く踏み出しているこの時期において、会員たちが法華経の深遠な平和思想をあらためて認識して、しっかりした理解と信念の上に立って今後の活動を進めてほしいと開祖が念願し発刊が意図された。

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