8/27/2023

「妙法」を継ぐ者たち──お会式勉強会

 「第七百四十一回波木井山川施餓鬼法要」が8月19日、山梨・身延町にある波木井山円実寺で行われた。今年は、日蓮聖人が波木井山に入山し、身延山を開創して750年の節目に当たる。法要は本堂で営まれ、読経、焼香、唱題に続き、僧侶によって参列者の身体健全などを祈禱する修法が行われた。

 同じ日の夜、府中教会ではお会式についての勉強会を行い、壮年2名のレクチャーに9名の青年たちが真剣な眼差しを向けた。


 お会式とは、日蓮宗の祖師日蓮聖人の忌日10月13日に行う法会のことである。大田区の池上本門寺のお会式は有名で、12日の逮夜(たいや・忌日前夜)は万灯、団扇太鼓の行進があり、多くの参詣者でにぎわう。

 本会の「お会式・一乗まつり」は、開祖さまがお慕いした日蓮聖人のご遺徳を偲ぶとともに、法華経にこめられた一乗の精神をもって、「人を救い、世を立て直す」とのご生涯を貫かれた開祖さまへ、追慕・讃歎・報恩感謝・継承・誓願をさせていただく機縁とするものだ。今年は10月15日、4年ぶりに開催される。

異体同心で勉強会に参加する青年たち


 2022年11月号の『佼成』のご法話「みんなの幸せを願う心──智慧②」で、会長先生は次のようにご指導をくださっている。

 ところで今年、生誕八百年めを迎えられた日蓮聖人は、「一天四海皆帰妙法(いってんしかいかいきみょうほう)」という世界観を一つの理想とされました。これもまた、智慧にもとづく大切なお諭しです。すべての人が法華経に帰依することを願う意味あいとともに、あらゆるものが妙法に随って存在していることを意味するともいわれますから、無限の縁でつながる世界中の人の幸せを願う祈りが、この言葉にはこめられているのです。


 日蓮聖人の理想の世界観を表す「皆帰妙法」。府中教会にはこの「妙法」という言葉が刻まれた纏(まとい)がある。この纏は「開祖さまからいただいた」と語り継がれている。

スクリーンに映された纏が本部の「佼成」、右側が府中教会の「妙法」。
頭の丸い部分にそれぞれ「立正」、「皆帰」と刻まれており、
つなげると「立正佼成会」、「皆帰妙法」となる。

 府中教会の大先輩方の口伝を結集すると、次のような歴史的経緯が浮かび上がってくる。

 教団のお祝い(昭和45年普門館の落成式、もしくは昭和49年法輪閣落成式)で「妙法」と「佼成」の纏が作られた。

 この2基の纏のうち、「佼成」は本部にあり、「妙法」を府中教会が譲り受けた。

 昭和45~46年頃、開祖さま生誕の地である新潟県菅沼のご生家参拝が始まっており、府中のメンバーは纏を持って十日町の市中行進に参加したいう。その後、その纏を第1回高校の船に多摩教区として府中から持って行ったところ、纏の芯棒が折れてしまい、頭だけを持って肩車をして行進をした。

 折れてしまった纏をどうしたらよいか困った当時の福島初代教会長が、開祖さまに相談したところ、本部で大きな纏を二基作るのでその片方を譲ると言っていただいたというのだ。

 その片方の纏「妙法」が約50年の時を経て、府中教会で大切にされている。

 府中教会は昭和49年に三鷹教会から分かれて発足した。日本は高度経済成長を遂げた時期である。一方、環境破壊や核開発など地球規模の課題に対し警鐘を鳴らす声が大きくなった。

 この年、本会では第2回世界宗教者平和会議を終え、教皇パウロ六世の「平和は向こうからやってはきません。平和をつくり出す人があってこそ、この世界に平和がありうるのです」という言葉を受け、開祖さまは「平和をつくり出す人……それが仏の分身なんだ!」とご法話くださっている。

「皆帰妙法」と刻まれた纏
お磨きをするとさらに輝くそうです。


 府中教会は来年、発足50周年を迎える。

 纏「妙法」の半世紀あまりの歴史を知り、日蓮聖人の「妙法」の精神を受け継ぐ青年たちが、「仏の分身」としてお会式・一乗まつりに向かう。

 その勇姿を応援したい。

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